(第17回)ママの心配事⑧~赤ちゃんの泣き入りひきつけ~

 

“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です

 

 

 

前回のコラムでは、ママの心配事として、赤ちゃんのひきつけについて考えてきました。

 

 

ひきつけを伴う疾患は様々です。

“泣き入りひきつけ(憤怒けいれん)” や “熱性けいれん” のように、成長とともに起こらなくなっていくものもありますが、“てんかん” “髄膜炎” “脳炎” のように、治療が必要なものもあります。

 

 

突然、赤ちゃんがひきつけを起こしたら、ママは大変慌ててしまいます。しかし、ひきつけは対処法をきちんと知っておけば、慌てることはありません。

 

 

ひきつけの中でも、熱性けいれんや泣き入りひきつけのように、ひきつけが起こる原因がわかっているものは、その原因について対処することでひきつけを防ぐことができます。

 

 

今回は、その中でも、ギャン泣きの後に起こる“泣き入りひきつけ”について、考えていきたいと思います。

 

 

 

 

泣き入りひきつけとは

 

 

赤ちゃんがギャン泣きしたり、激しい刺激や興奮により、脳の呼吸をつかさどる部分の働きが一時的に低下することで起こる痙攣です。

 

 

一時的に呼吸が止まり意識を失って顔色が悪くなり(青紫色又は蒼白)、痙攣を起こします。

通常は1分以内におさまります。

その後、全身がぐったりとした様子がみられる場合もあります。

 

 

生後6カ月から2、3歳の子供に多くみられ、4、5歳になる頃には自然となくなっていきます。

泣き入りひきつけを起こす割合は生後6カ月から3歳くらいまでの子供の4~5%程度といわれています。

 

 

 

 

泣き入りひきつけが起きる原因は

 

 

近年では、鉄欠乏性貧血の状態にあると、泣き入りひきつけが起きやすくなるとわかってきました。

 

 

鉄欠乏性貧血とは、鉄が不足することによって赤血球が少なくなり、酸素を運ぶ力が弱くなってしまう状態です。

子供の場合は、乳児期後期~幼児期初期(生後6か月~2歳前後)に起こりやすいといわれています。

 

 

では、東洋医学では、泣き入りひきつけはどう考えているのでしょうか。

 

 

泣き入りひきつけは理由もなくギャン泣きするといった“疳の虫”のような状態から起きます。“疳の虫”の“疳”は五疳ともいい、5つの臓(臓器)それぞれに疳の症状があると考えられています(肝疳、心疳、脾疳、肺疳、腎疳)

 

 

それぞれの疳の症状は主に、脾、胃の損傷からもたらされます。

 

五臓は互いの力を促進したり、抑制したりしてバランスを保っています。

しかし、その中の1つでも異常が出ると、五臓は力のバランスを崩し、心身に様々な影響を及ぼします。

 

 

肝は脾を抑制することでバランスを保ちますが、脾が損傷する(力が弱くなる)ことにより、肝の力(肝気)が強くなり過ぎてしまい、バランスが崩れます。

 

 

肝には精神状態を安定させる働きがあり、肝気が上がると、イライラし、怒りやすくなります。

赤ちゃんの場合、これがギャン泣きの原因に繋がっている場合があります。

 

 

 

 

泣き入りひきつけの対処法

 

他のひきつけと対処法は同じです。

 

衣服を緩めて、平らな場所に寝かせましょう。

嘔吐があった場合、吐しゃ物が気道を塞がないように横向きに寝かせましょう(顔だけを横に向けるだけでもかまいません)

ヘアピン、ベルト等をしている場合は外しましょう。

 

 

 

 

泣き入りひきつけが起きた時にしてはいけないこと

 

 

NG1 身体を揺らす、抱っこする、大声で呼ぶ

 

ひきつけを悪化させる可能性があります。

 

 

NG2 ひきつけを起こしている赤ちゃんの口の中に手やタオルを入れる

 

昔は、“舌を噛まないように”ひきつけを起こした赤ちゃんの口の中にママやパパがとっさに手を入れたという話をよく聞きましたが、ひきつけで舌を噛むことはほぼありません。むしろ、手やタオル等で気道を塞いでしまうことになりますので、やめましょう。

 

 

泣き入りひきつけは、脳波に異常はみられないひきつけのため、基本的に治療は行われません。

 

 

 

 

泣き入りひきつけの予防法

 

 

1番の予防法はギャン泣きさせないことです。

 

 

では、ギャン泣きさせないためにはどうすればいいでしょうか?

 

 

ギャン泣きさせないために、わがままを言っても許したり、悪いことをしても注意しなかったりという“甘やかし”はNGです。

 

 

これは、むしろ、泣き入りひきつけを悪化させてしまいます。

ママやパパが甘やかすことで、赤ちゃんは無意識のうちに、泣けば何でも許される、自分の主張が通ると思ってしまい、ちょっとしたことでもギャン泣きするようになってしまいます。

 

 

ギャン泣きさせないためには赤ちゃんを甘やかすのではなく、まずは、赤ちゃんに対するママやパパの叱り方を見直してみましょう。

 

 

日々の育児で疲れているママ、仕事で疲れているパパ、ついついイライラして、ヒステリックに怒鳴ってしまっていませんか?

 

 

赤ちゃんは何もかもが未熟です。時として、ママやパパには理解できない行動をすることもあるでしょうが、ここはぐっと堪えて、急に大声を上げたりしないようにしてあげてください。

 

 

そして、赤ちゃんがギャン泣きしそうな雰囲気になったら、抱っこしたり、歌を唄ってあげたり、赤ちゃんの好きなアニメを見せる等して、赤ちゃんの気分を変えてあげるようにしてみてください。

 

 

先輩ママの経験談では、何度か泣き入りひきつけを経験するうちに、ギャン泣きするタイミングがわかってくるので、そんな時には、赤ちゃんの気をそらすようにしたという話もあります。

 

 

 

 

赤ちゃんのお薬「ひやきおーがん」について

 

 

これまで、この育児コラムでは、赤ちゃんのいろいろな症状に対する「ひやきおーがん」の働きをお知らせしてきました。

 

 

「ひやきおーがん」は夜泣きのお薬というイメージをお持ちのママが多いと思いますが、効能・効果は「小児の神経質、夜なき、かんむし、ひきつけ、かぜひき、かぜの熱、ねびえ(寝冷え)、下痢、消化不良、乳はき(吐乳)、食欲不振、胃腸虚弱」と様々です。

 

 

「ひやきおーがん」は東洋医学の考えに基づき、心身(五疳)のバランスを整えることで、赤ちゃんの体質を改善するお手伝いをします。

 

 

 

 

日本では、“疳の虫”=“疳癪持ち”とよくいわれます。

 

“癇癪持ち”という言葉は良い言葉としては使われません。

しかし、赤ちゃんの疳癪持ちは自己表現の1つでもあります。

成長とともに、様々な欲求が出てきますが、その欲求を今はまだ、うまく表現出来ていないだけです。

 

 

疳癪を起こし、その後、泣き入りひきつけを起こしてしまった赤ちゃんを前にすると、ママの中には育児に自信をなくしたり、自分を責めてしまう方々がおられます。

 

 

赤ちゃんの疳癪、ギャン泣きは成長過程の1つです。ママのせいではありません。成長と共に自然になくなっていきますので、心配しすぎず、大らかな気持ちで赤ちゃんに接してあげてください。

 

 

メッセージ

 

 

「泣くのは赤ちゃんの仕事」、そんな言葉をよく耳にします。それくらい、赤ちゃんは成長の中でたくさん泣きます。そして、ママをたくさん困らせてしまいます(^^;)

 

 

次回は、そんな赤ちゃんの泣き方(ギャン泣き、夜泣き、たそがれ泣き等)について、考えていきたいと思います。

 

 

 

…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!

 

 

 

“今日のすくすく赤ちゃん” のご紹介です】

 

17回

 

兵庫県のたろうくん

(2016年7月生まれ、身長68cm、体重7.3kg)

 

~ママからのメッセージ~

お父さんに似て真っ白な肌で、お母さんに似て我慢強い、泣かないおだやかな男の子です。

 

 

 

 

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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長