(第44回)夏に要注意!!~お子さんの汗かき①~

 

 

 

“今日のすくすくキッズ” の紹介は、コラムの最後に登場です

 

 

 

7月から8月にかけ、夏に多い子どもの病気であるヘルパンギーナや手足口病がニュースで取り上げられることが多くなりました。熱中症に関するニュースも連日のように目にします。

 

 

熱中症の第一の予防は水分補給です。汗で失った水分を補給することが大切です。

特に、お子さんは汗をよくかきます。場合によっては、ママもびっくりするくらいの汗をかいていたりしませんか?

 

 

そこで、今回は、お子さんの“汗かき”について考えていきます。

 

 

 

発汗(汗をかく)の基礎知識

 

 

汗は皮膚にある”汗腺”から分泌されます。

 

 

 

 

 

汗腺とは

 

 

汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。

 

 

【エクリン腺】

 

全身に分布しています。

主に体温調節のために汗を分泌します。

 

 

 

【アポクリン腺】

 

わきの下、おへそのまわりなど体の局所に分布しています。

主に情緒刺激により汗を分泌します。

 

 

 

ここでポイント!!

 

 

実は、汗はほぼ無臭です。“汗の臭い”は、汗が酸化したり、汗が毛穴や皮膚の表面にいる常在菌によって分解され、それが臭いの原因物質に変化することで発されます。

 

 

特にアポクリン腺は体臭に大きく関与しており、いわゆる“ワキガ”はわきの下にあるアポクリン腺の分泌が盛んな人に多くみられます。

 

 

 

 

 

能動汗腺とは

 

 

体に分布している全ての汗腺から汗が分泌されるわけではありません。実際に活動している(発汗機能を示す)汗腺を能動汗腺と呼びます。

 

 

いわゆる“汗の量”はエクリン腺の能動汗腺数によって決まります。

 

 

エクリン腺は人によりそれぞれですが、約200~500万個あるといわれ、能動汗腺数はその半分といわれています(日本人では約230万個)

 

 

 

ここで、ポイント!!

 

 

能動汗腺は生まれてから約3年間で、過ごした環境で決まるといわれています。熱帯地域で生まれ育った人は寒冷地域で生まれ育った人より能動汗腺数は多く、それにより猛暑の中でも体温調節をしやすくなっているといわれています。

 

 

この数年、世界各国から日本を訪れる外国人観光客が増え、それに伴い訪日外国人観光客を対象とした熱中症対策もいろいろされています。

 

 

特に、日本の夏の蒸し暑さに慣れていない北欧、ロシア(寒冷地域)からの外国人観光客は体温調節がうまく出来ないこともあり、熱中症になりやすいといわれています。

 

 

つまり、過ごした環境で決まるということは、同じ日本に生まれ育っても、生まれたときから冷房完備の中で過ごした人とそうでない人では能動汗腺数には差が出ると考えられます。

 

 

 

 

 

発汗の種類

 

 

発汗の種類は3種類に分けられます。

 

 

【温熱性発汗】

 

暑さや運動により上昇した体温を下げるための発汗。

手のひら、足の裏を除く全身から発汗します。

 

 

 

【精神性発汗】

 

ストレスや緊張など精神的な刺激による発汗。

手のひら、足の裏、わきなど局所的に発汗します。

 

 

 

【味覚性発汗】

 

辛いものや刺激の強いものを食べたときに出る発汗。

 

 

 

 

ここでポイント!!

 

 

発汗以外の皮膚、呼気からの水分蒸発を「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」といいます。

 

 

「汗をかいた」と感じていなくても健常成人では1日900~1,000mLもの不感蒸泄があります。汗をかいたと感じていなくても、日常の中で水分補給はいつも心掛けておきましょう。

 

 

 

 

 

「子どもは汗かき」の原因

 

 

【原因1】

 

子どもは体温が変化しやすいため、ちょっとした運動でも体温は上がります。上がった体温を調節するため汗をよくかきます。

 

 

【原因2】

 

子どもは成長のため細胞分裂活発に行われ新陳代謝が良いです。新陳代謝が良いということは体内で大量のエネルギーを消費します。エネルギーを消費する際に体温が上がり、汗が出ます。

 

 

【原因3】

 

身体の水分(体液)が占める割合が、大人は60%であることに比べ、子どもは70~80%と水分量も多く、汗もかきやすくなっています。

 

 

 

 

ここで、ポイント!!

 

 

お子さんが頭から水をかぶったように汗びっしょりになっているときがありますよね。

 

 

実は、大人も子どもも汗腺数は変わりません。しかし、子どもは大人に比べて体が小さい(体表面積が小さい)ため、面積当たりの汗腺数が密集しています。なので、同じ量の汗をかいていても大人よりも子どもの方が汗をかいているように見えるのです。

 

 

また、子どもの汗腺は大人に比べて未熟ですが、その中でも頭の汗腺はある程度発達しているため、子どもは頭から汗をかくことが多いのです。

 

 

 

 

 

このように、子どもは基本的に汗かきです。

 

 

外で遊んで帰ってきた、お風呂上り、朝の寝起きにお子さんが汗びっしょりになっているのは自然のことなのです。

 

 

ただ、異常を感じるほど汗をかいている場合は病気による発汗の可能性もあります。この場合は発汗の他に、発熱、倦怠感、動悸、息切れ、手足のしびれなど他の症状もみられます。

 

 

日常生活の中で、お子さんの様子をよくみておくこと(元気なときとそうでないとき)はとても大切なことです。

 

 

 

 

ここで、ママ・パパ ポイント!!

 

 

汗をかくことは身体にとって重要な機能です。だからといって、汗をかき過ぎることは良いとはいえません。東洋医学の視点からみると、汗をかく=“気”を消耗すると考えられています(汗と一緒に気は消耗されます)

 

 

“気”は人体の構成と生命活動の基本となるもの、つまり“生命エネルギー”です。

汗とともにその“気”を消耗しているのです。

 

 

夏の時期、汗をかくので水分補給はもちろんですが、それと同時に消耗された“気”を補うことも健康な生活を送るためには大切です。

 

 

“気”を補う食べ物として、牛肉、豚肉、鶏肉、ウナギ、キャベツ、ジャガイモ、カボチャ、トウモロコシ、大豆、リンゴ、ブドウ、イチジク、梅などを積極的に摂るようにしましょう。

 

 

また、“気”は朝につくられるといわれています。夏はいろいろと楽しい行事もあり、ついつい夜更かししてしまいますが、早寝早起きを心掛け、“気”を高めましょう。

 

 

ママ、パパも是非、お子さんと一緒に実践してみてください(^^)

 

 

 

 

子どもが汗かきなのは自然なこととわかっても、ママにはいろいろと心配事がありますよね。清潔を心掛けていても、夏の時期はいくら汗を拭いても次から次へと汗は出ます。お子さんはなかなか自分自身でこまめに汗を拭いたり、服を着替えることができません。

 

 

汗によるお子さんの「あせも」や「汗の臭い」はママも気になるところではないでしょうか。

 

 

そこで、次回は、お子さんの汗かきに関連して、「あせも」、「汗の臭い」ついて考えていきたいと思います。

 

 

…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!

 

 

 

“今日のすくすくキッズ” のご紹介です】

 

44

 

兵庫県の洋武くん

(2014年11月生まれ、身長93cm、体重14.5kg)

 

~ママからのメッセージ~

初めての潮干狩り。最初は用意したバケツに砂を入れて遊んでいましたが、徐々にアサリを探すことを理解して『いるー?いないねー?』と探しだしました。採れたアサリに上から海水をかけて『お水たべてるのー』。子供らしく満喫してくれたようです。

 

 

 

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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長